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インスペクション(建物状況調査)

インスペクション(建物状況調査)


インスペクションとは、既存住宅の建物状況調査のことをいいます。

構造上主要な部分と雨水の侵入を防ぐ部分について、瑕疵(かし)がないかなど、専門家が調査を行います。

中古物件の需要が高まる昨今、インスペクションを行うにはどのくらいの費用がかかり、実際にどのような効果があるのか、不動産を売却する際に必要な知識として、確認しておきましょう。



インスペクションを行うにはいくらかかるのか?


インスペクションの相場は5万円程度と言われています。

インスペクションは2018年4月の改正宅地建物取引業法の施行によって不動産売買に取り入れられた制度で、インスペクションの結果の概要が重要事項説明の際に説明されるようになりました。

重要事項説明とは、不動産の売買契約の際に不動産会社が買主に対して行う物件の重要な内容の説明のことで、・取引対象不動産の権利関係・取引対象不動産に係る法令上の制限・取引対象不動産の状態やその見込み・契約の条件が重要事項に当たります。

しかし、売主にも買主にも、インスペクションを行わなければならない義務はありません。

インスペクションはあくまで売主と買主の自由意志で行われるものですので、実施されていた場合に重要事項説明の際に不動産会社が飼い主に対して説明をします。


インスペクションの費用は主に、物件の種別と面積によって、異なります。

下記の金額はその一例です。面積の区切りなどは調査を行う会社によって異なりますので、注意してください。


物件種別

費用の相場

マンション

約5万円

一戸建て

約165㎡未満

約4.5万円

約165㎡〜250㎡未満

約5万円

約250㎡〜500㎡未満

約6.5万円


マンションに関しては面積によって費用に差を設けている検査会社は少ないですが、一戸建ての場合は面積によって若干異なることが多いようです。


上記の金額はあくまで、宅地建物取引業法が規定しているインスペクションを行う際の金額です。

宅地建物取引業法が規定しているインスペクションとは、国の登録を受けた既存住宅状況調査技術者が、既存住宅状況調査方法基準に基づいて行う調査のことをいいます。

既存住宅状況調査技術者は、既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士のことを指します。


インスペクションの費用負担は売主が実施すれば売主、買主が実施すれば買主が負担するような形になります。これはどちらが行っても構いませんが、売却前に買主が行う際には売主の承諾を得る必要がありますので、注意してください。


インスペクションで得られる3つの効果


インスペクションで得られる効果は主に下記の3つになります。


  • 1.売却物件の状況を明らかにできる
  • 2.合格すれば買主に安心感を与えることができる
  • 3.瑕疵(かし)担保保険に加入することができる

それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。


1.売却物件の状況を明らかにできる

インスペクションの大切な目的の一つが『専門家の調査によって物件の状況を明らかにする』ことです。

2020年4月から、買主の保護制度として『契約不適合責任』というものが創設され、種類、品質または数量に関して、契約の内容に適合しないものがある場合に、売主が負う責任のことをいいます。

契約書の内容と異なる物を売った際、売主にはその責任を負う義務があり、場合によっては買主から『追完請求(修繕の請求のこと)』や『契約解除』『損害賠償請求』といった責任追求を受ける可能性があるのです。


例えば、売却する物件に雨漏りがあった場合、買主の了承の上で『雨漏りをしています』と契約書にきちんと記載して契約をすれば、契約不適合責任を問われることはありません。

しかし、雨漏りについて何も記載せずに、契約を結んでしまった場合、契約の内容とは異なる物を売却したこととなり、売主は契約不適合責任を追求されることとなります。


契約不適合責任は、もし、売主がその不具合を認識していなかった場合でも『気づくことができる不具合』であると判断された場合には追求されてしまうため、事前に専門家によるインスペクションを受けることには、建物の状況を明らかにすることで契約不適合責任を追求されるリスクを下げる効果が期待できます。


2.合格すれば買主に安心感を与えることができる

インスペクションは主に一戸建てを想定して作られた制度です。

一戸建ての中古物件を購入するにあたって、買主には雨漏りやシロアリによる被害、経年による建物の基礎の傷みや歪みは大きな不安要素となります。

そのため、専門家によるインスペクションを受け、合格した物件であれば買主は安心して、その物件を購入できるという訳です。

これは買主に大きなメリットがある物ですが、売主にとっても、物件の付加価値が生まれることで、早期に買主を見つけることに繋がる制度と言えるでしょう。


3.瑕疵(かし)担保保険に加入することができる

『瑕疵(かし)』とは、『通常、一般的には備わっているはずの機能・品質・性能・状態が備わっていないこと』を表す言葉です。物件が一戸建ての場合、住宅の基本構造に傷などの物理的欠陥や本来発揮されるべき性能が基準値を満たしていない状態を瑕疵と言います。


瑕疵担保保険とは、売却後、物件に瑕疵が発見された際にその補習費用の一部を保険金によって支払うことができる保険で、瑕疵担保保険に加入するには、下記の2つの条件を満たす必要があります。


・インスペクションに合格している建物である(1年以内の調査が対象)

・新耐震基準に適合した物件である


インスペクションは受けるだけではなく、合格している必要があります。もし、インスペクションを受けて不具合が見つかっても、瑕疵担保保険に加入したい場合は見つかった不具合を修繕する必要があります。

また、新耐震基準について、これは1981年6月以降に適応された耐震基準を指します。

新耐震基準施行前に作られた建物であっても、耐震診断を行い、新耐震基準を満たしていることが証明できれば、瑕疵担保保険に加入することができます。


弊社では専属専任媒介、あるいは専任媒介契約を結んで下さったお客様が、瑕疵担保保険への加入する場合、インスペクションの費用を無料にするサービスをおこなっております。詳細は下記より、ご確認ください。


関連リンク|瑕疵保険と住設保証


インスペクションを依頼する際に注意すべきこと


インスペクションを依頼する際には下記のことに注意して行いましょう。


  • 1.時間的に余裕をみて行うこと
  • 2.既存住宅状況調査技術者は不動産会社に紹介してもらうこと
  • 3.全ての瑕疵を明らかにする物ではないと認識すること

それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。


1.時間的に余裕をみて行うこと

インスペクション自体は1時間〜3時間程度で修了しますが、既存住宅状況調査技術者の手配をし、日程調整がされるまでに1週間程度かかります。

また、インスペクション実施後に報告書を受け取るまでに、さらに1週間程度必要になるため、売主の都合も加味して、2週間〜3週間はかかる物と思って手配をしましょう。

また、地方では既存住宅状況調査技術者が不足しているのが現状で、手配にはいっそう時間がかかる可能性があります。

なお、インスペクションは前述した通り、義務ではありませんので、完了していなくても、売却活動を始めることができます。

売却を急いでいる場合は広告を先行し、売却活動と並行してインスペクションを実施しても問題はありません。


2.存住宅状況調査技術者は不動産会社に紹介してもらうこと

宅地建物取引業法改正により、インスペクションの導入は2018年4月より始まりました。

しかし、それ以前から民間の検査会社により『ホームインスペクション』や『住宅診断』などの紛らわしい名称が付いたサービスが混在しているのが現状です。

これらの検査会社が独自に展開している調査は瑕疵担保保険の加入条件である『既存住宅状況調査技術者の資格者』であり、かつ『住宅瑕疵店舗保険責任保険法人の登録検査事業者』による調査に合格しているというものを、満たしたサービスではない可能性があります。

売主自身が既存住宅状況調査技術者の手配をすると、要件を満たさない検査会社を選択してしまい、瑕疵担保保険に加入できなかった、ということにもなりかねません。

インスペクションの実施を希望する場合は、不動産会社にその旨を伝え、保険加入の要件を満たしている検査会社を紹介してもらうと安全です。


3.全ての瑕疵を明らかにする物ではないと認識すること

インスペクションはあくまで、建物の構造に関する調査であり、瑕疵の全てを明らかにできる訳ではありません。

瑕疵には建物の基本的構造に関する物の他に、心理的瑕疵や環境的瑕疵、土地の瑕疵に分類されるものがあります。


  • ■心理的瑕疵

    取引物件で過去に自殺や殺人時間、火災、忌まわしい事件、事故などがあり、心理的な面において、住み心地の良さを欠く不具合のこと。


  • ■環境的瑕疵

    近隣からの騒音、振動、異臭、日照障害、近隣に反社会的組織の事務所があり安全で快適な生活が害される恐れが高い不具合のこと。


  • ■土地の瑕疵

    土壌汚染や地中障害物などの不具合のこと。


これらの瑕疵はインスペクションでは明らかにすることができません。そのため、契約書に記載をしていなければ契約不適合責任を負うこととなります。

心理的瑕疵などは売主が自ら告知書に記載する必要があるため、契約不適合責任をしっかりと回避するためには、インスペクションの実施に加えて、告知書への記載を正直に行うことが重要です。

インスペクションを受けたい場合は早い段階で、不動産会社に相談をすると良いでしょう。



このように、インスペクションは売主にも買主にもメリットがある制度です。

調査費用自体は5万円程度と、売却代金や、調査で得られる安心を思えばけして高くありません。

しかし、専門性の高いものですので、検査会社選びを間違えてしまうと、時間や費用が無駄になってしまう場合もあります。

インスペクションは売却活動と並行して行うこともできますので、慌てず、不動産会社に相談しながら、確かな検査会社に依頼するように心がけましょう。


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