不動産売却に必要な書類一覧と書類の取得方法を解説
不動産の売却に関する書類は、必須の物だけでも10種類以上あります。
手配をしてから取得するまでに時間のかかるものや、有効期限が短く必要な場面で期限の切れる可能性のあるものなど、いつ、どこで、だれが、どのように手配するのかも異なります。
売却活動を始める前に、事前によく確認し、適切なタイミングで書類が入手できるように準備をしておきましょう。
不動産の売却時に必要な書類一覧(不動産種別)
まず、どのような書類があり、どこで入手できるのか、一覧で確認をしましょう。
不動産売却の際に必要な書類は大きく分けて3種類です。
- ・土地、建物に関する書類
- ・権利に関する書類
- ・売主に関する書類
売却する不動産が一戸建てか、マンションか、土地かによって必要な書類も異なりますので、注意して書類の準備をしましょう。
必要な書類の名称 | 入手先 | マンション | 一戸建て | 土地 | |
土地・建物に関するもの | 建築確認済証・検査済証 | 市役所 | × | ● | × |
建築設計図書・工事記録書 | 不動産会社・管理会社 | △ | △ | × | |
物件図面・設備仕様書 | 不動産会社・管理会社 | ● | ● | × | |
マンション管理規約・使用細則 | 管理会社 | ● | × | × | |
マンション維持費等の書類 | 管理会社 | ● | × | × | |
土地測量図・境界確認書 | 専門業者 | × | ● | ● | |
地盤調査報告書 | 専門業者 | △ | △ | △ | |
耐震診断報告書・住宅製法評価書 | 専門業者 | △ | △ | × | |
権利に関するもの | 登記事項証明書(または登記簿謄本) | 法務局 | ● | ● | ● |
登記識別情報(または登記済権利証)<> | 法務局 | ● | ● | ● | |
固定資産税の納税通知書・評価証明書 | 市役所 | ● | ● | ● | |
購入時の売買契約書・重要事項説明書 | 不動産会社 | ● | ● | ● | |
購入時のパンフレット・広告資料 | 不動産会社 | △ | △ | △ | |
売主に関するもの | 身分証明書 | – | ● | ● | ● |
実印 | 市役所 | ● | ● | ● | |
印鑑証明書(3ヶ月以内に取得したもの) | 市役所 | ● | ● | ● | |
住民票(3ヶ月以内に取得したもの) | 市役所 | △ | △ | △ | |
銀行通帳 | 金融機関 | ● | ● | ● | |
ローン残高証明書(またはローン返済予定表) | 金融機関 | △ | △ | △ |
●必須書類 △あった方が良い ×不要
参考リンク|おうちの悩み.com
土地、建物に関する書類
土地や建物がどのような状態かを示す書類になります。
設計や施工がどのように行われたのか、耐震性や隣地との境界線についてなど、主に不動産の仕様書のようなものです。
1.建築確認済証・検査済証
売却する不動産が建築基準法にそって建築されていることを、証明するための書類です。
基本的に不動産の購入時に取得しているものですが、取得していない場合や紛失してしまった場合は再発行ができませんので、市区町村で取得の有無を確認できる書類がありますので、それを用意しましょう。
【必要な不動産】一戸建て 【入手先】購入時、または市役所 【重要度】必須
2.建築設計図・工事記録書など
建物がどのように設計され、どのように工事が行われたかを確認するための書類です。
リフォームやリノベーションが必要かの判断材料にもなりますので、用意しておくと買主の印象も良くなるでしょう。
基本的に不動産の購入時に不動産会社から受け取ります。手元にない場合、一戸建てであれば不動産会社、マンションであれば管理組合か管理会社に連絡をして取り寄せましょう。
【必要な不動産】一戸建て、マンション 【入手先】不動産会社、管理会社 【重要度】あった方が良い
3.物件図面・設備仕様書
物件図面は、いわゆる間取り図の事です。買主が不動産の購入を検討するために必要な書類です。 設備仕様書は、浴室やキッチン、トイレなどの住宅設備に関する書類です。
どちらも不動産購入において、買主の判断材料となる重要な情報ですので、売却活動を始める前に用意しておきましょう。
物件図面については不動産の購入時に不動産会社から受け取ります。手元にない場合、一戸建てであれば不動産会社、マンションであれば管理組合か管理会社に連絡をして取り寄せましょう。
設備仕様書については、メーカーと型番がわかればメーカーのホームページなどから印刷をしても大丈夫です。
【必要な不動産】一戸建て、マンション 【入手先】不動産会社、管理会社、各設備のメーカー 【重要度】必須
4.マンション管理規約・使用細則
マンションにおける、共有部分のルールやペット飼育の可・不可、などの詳細な取り決めを記載した書類です。
生活にかかわる部分なので、買主が購入の決め手にする項目も多いため、早めに入手しておきましょう。
また、必須ではありませんが、議事録や長期修繕計画書なども合わせて用意できると、良いでしょう。
管理規約は購入時に管理会社から受け取ります。手元にない場合は管理会社に再発行してもらうことができますが、有料の場合もあるので、注意して下さい。
【必要な不動産】マンション 【入手先】管理会社 【重要度】必須
5.マンション維持などの書類
管理費、修繕積立金、管理組合日、町内会費など、買主が入居後負担する費用が記載されている書類の事です。
買主が購入後の資金繰りを計画するために必要になる情報ですので、売却活動を始める前に準備しておくと良いでしょう。
これらの書類は購入時に管理会社から受け取ります。手元にない場合は管理会社に連絡し、再発行してもらいましょう。
【必要な不動産】マンション 【入手先】管理会社 【重要度】必須
6.土地測量図・境界確認書
所有している土地の面積や隣地との境界線などが記載された書類の事です。
境界線が明確でない場合、隣地の所有者とトラブルになる原因になりますので、早めに準 備をしておきましょう。
測量図の作成は、土地家屋調査士に依頼することで入手できます。測量や境界の確定には費用と時間がかかりますので、売却を決めた早い段階で不動産会社に相談すると良いでしょう。
【必要な不動産】一戸建て、土地 【入手先】専門業者 【重要度】必須
7.地盤調査報告書・耐震診断報告書・住宅性能評価書・アスベスト使用調査報告書
これらの書類は第三者機関による客観的な調査報告書で、個別に診断を行った際に依頼した業者から受け取るものです。
売却する不動産の安全性が証明されれば、それだけ、買主にとって魅力的な不動産になりますので、不動産のアピールポイントとして用意しておくと良いでしょう。
現在の耐震基準を満たしていない古い不動産を売却する場合、買主から耐震診断を求められる場合もありますので、よく確認をしておきましょう。
それぞれの調査は専門業者に依頼し、書類を取得します。調査を行うには別途費用が掛かりますので、注意しましょう。
【必要な不動産】一戸建て、マンション、土地 【入手先】専門業者 【重要度】あった方が良い
権利に関する書類
不動産の権利内容がどのようになっているのかを示す書類です。
売却する不動産は誰のもので、時価はいくら程度なのか、購入時の条件などを確認するために必要になります。
1.登記識別情報・登記済権利証
不動産の所有者が登記名義人である事を証明するための最重要書類です。
12ケタの英数字からなる識別番号が記載されています。
不動産を売却する際には、これらの書類を買主に渡し、移転登記を行うことで、不動産の所有権を買主に移すことができます。
平成18年以前の不動産の場合は『権利証』と呼ばれていましたが、記載内容は登記識別情報と同様です。
これらの書類は登記の際に法務局から発行され、紛失すると再発行はできません。
紛失してしまった場合は下記のいずれかの方法で手続きが必要になります
■本人確認情報
司法書士が本人確認を行い、所有者であることを法務局に証明してもらう方法です。
費用は5万〜10万円程度かかります。
■事前通知制度
登記識別情報がない状態で、いったん所有者移転の登記申請をする方法です。
申請をすると、法務局から本人確認を求める確認書が届きますので、署名をして法務局に返送することで、所有権移転の手続きを進めることができます。
この方法は無料ですが、不備があると申請が却下される場合もあるので、注意しましょう。
【必要な不動産】一戸建て、マンション、土地 【入手先】法務局 【重要度】必須
2.登記事項証明書・登記簿謄本
不動産の所有者の権利や物件の詳細について、記載された証明書です。
登記簿のデータを印刷したものを『登記事項証明書』、法務局に保管されている法規模原本をコピーした物を『登記簿謄本』と言いますが、どちらも記載内容は同じです。
これらの書類は法務局で入手することができます。オンラインでの申請で郵送してもらう事も出来ます。費用は600円になります。
【必要な不動産】一戸建て、マンション、土地 【入手先】法務局 【重要度】必須
3.固定資産税・都市計画課税証明書・固定資産評価証明書
固定資産税納税通知書、都市計画課税証明書は固定資産税などを支払う義務がある人に対して、税金の算定基準になった不動産の評価額や実際に納税すべき額、支払い期限を通知するための書類です。
固定資産税は1月1日の時点で所有者に1年分が課税されますので、物件の所有者が変わった場合には不動産の引き渡し日に売主と買主の間で精算することが多いです。
これらの書類は毎年、5月頃に税務署から自宅に送付されます。手元にない場合は市役所で最新のものを再発行しましょう。
一戸建ての場合、土地と建物、別々に用意する必要がありますので、注意してください。
【必要な不動産】一戸建て、マンション、土地 【入手先】法務局 【重要度】必須
4.購入時の売買契約書・重要事項説明書
不動産の状況と特記事項を確認するための書類です。
こられがないと売却後のトラブルにつながるため、建築条件や設備についての注意事項を再確認するために用意しておきましょう。
基本的に不動産の購入時に不動産会社から受け取ります。手元にない場合は不動産を購入した不動産会社から取り寄せましょう。
ただし、重要事項説明書には保管義務がありませんので、不動産会社が処分してしまっている可能性もありますので、早めに確認しましょう。
【必要な不動産】一戸建て、マンション、土地 【入手先】不動産会社 【重要度】必須
5.購入時のパンフレット・広告資料
これらの資料には設備や間取りの詳細が記載されているため、売却活動に活用することができます。
不動産の写真をすぐに撮影できない際には買主に不動産のイメージを伝えることのできるツールになるでしょう。
手元に残っていなければ購入時の不動産会社やマンションの管理会社が有料で再発行してくれる場合がありますので、問い合わせてみましょう。
【必要な不動産】一戸建て、マンション 【入手先】不動産会社 【重要度】あった方が良い
売主に関する書類
売主に関する書類は、買主と売買契約を結ぶ際に必要になります。
1.写真付身分証明書
不動産売却には本人確認が必要になります。売主本人であることを証明できるものとして、運転免許証やマイナンバーカード、パスポート、健康保険証などが使用できます。
共有名義の不動産の場合は、名義人全員分の身分証が必要になりますので、注意して下さい。
【必要な不動産】一戸建て、マンション、土地 【重要度】必須
2.実印・印鑑証明書
売買の際、各種書類に捺印するための印鑑(実印)と、印鑑証明書が必要になります。
印鑑証明書の有効期限は3か月以内となっていますので、残金・決済日が期日を過ぎてしまう場合は再取得が必要になるので、注意しましょう。
共有名義の不動産の場合は、名義人全員分の身分証が必要になりますので、注意して下さい。
登録した印鑑をなくした場合は市役所で印鑑登録の再手続きを行えます。
印鑑証明書は実印を登録した市役所で発行されます。印鑑証明書の発行には印鑑登録時に受け取る『印鑑登録カード』か『印鑑登録証』が必要となります。
【必要な不動産】一戸建て、マンション、土地 【入手先】市役所 【重要度】必須
3.住民票
登記簿の住所と現住所が異なる場合、住民票が必要になります。
有効期限は発行から3か月となっているので、取得のタイミングには注意して下さい。
住民票のある市役所で発行できます。
【必要な不動産】一戸建て、マンション、土地 【入手先】不動産会社 【重要度】売主による
4.銀行通帳
不動産売却の代金は決済の際に、買主から銀行口座に振り込まれます。
インターネットバンキングの場合は通帳がありませんので、金融機関名、支店名、預貯金種目、口座番号、口座名義人のわかる画面をスクリーンショットするなどして、振り込み先がわかるようにしておきましょう。
各金融機関で発行されますが、昨今はペーパーレス化が進み、紙の通帳は有料となっている金融機関もありますので、注意しましょう。
【必要な不動産】一戸建て、マンション、土地 【入手先】不動産会社 【重要度】必須
5.ローン残高証明書・ローン返済予定表
売却する不動産のローンを完済していない場合、基本的には売却できません。そのため、売却時にはローン残高証明書か、ローン返済予定表が必要になります。
また、売却前の資金計画や、売却価格を決める参考にもなりますので、早い段階で確認しておくと良いでしょう。
基本的にローンを組んでいる金融機関から10月〜11月頃に発行されます。
手元にない場合は金融機関に問い合わせ、再発行してもらうと良いでしょう。
【必要な不動産】一戸建て、マンション、土地 【入手先】金融機関 【重要度】売主による不動産の売却時に必要な書類まとめ
不動産売却には不動産の種別や状況により、必要な書類が様々あります。
書類によっては再発行に時間や費用が掛かるものもありますので、売却を決めたら早い段階で準備をしておくと良いでしょう。
また、売却を依頼している不動産会社によっては司法書士と連携し、書類の取得などを代行してくれる場合もありますので、相談してみると良いかもしれません。