売却相場を調べる方法
不動産を売却する前に、まず調べておきたいのが、不動産の相場です。
不動産の資産価値は不動産の築年数や立地だけではなく、世間的な景気や周辺環境の変化によって大きく変わります。
不動産の価値を正確に知らずに、焦って安く売ってしまうなど、損をしないためにも、さまざまな角度からリサーチし、適正価格での売却を目指す、その方法をご紹介していきます。
【目 次】
不動産の価値は環境の変化で変わる
不動産の価値は主に下記のような要因から変化します。
- 周辺環境の開発
- 景気の動向
- 季節による需要の変化
購入当時は住宅もまばらで商業施設も少なく、アクセスの悪い土地柄だったエリアが、開発によって便利になり、人気が高くなるケースは都市近郊のエリアでよく見られます。
バブル期の異様な土地価格の高騰やリーマンショックによる地下の大幅な下落など、記憶していらっしゃる方もいるのではないでしょか?世界的な景気の他にも、自然災害などで地域の特徴によっては地下が大きく変わる場合があります。
上記よりも周期が短く、変動がスムーズに売却できるかにも関わってくるのが、季節による買い手需要の変化です。3月〜4月は生活環境が変わる引っ越しのシーズンです。そのタイミングを狙うなら、新年度が始まる前の1月〜3月が売却の狙い目と言えるでしょう。
不動産価格の調べ方
不動産の価格は主に下記のような方法で調べることができます。
種類 | 情報元 | 調べられる価格 |
---|---|---|
公示価格 | 国土交通省 | 土地の価格 |
路線価 | 国税庁 | 土地の価格 |
固定資産税評価額 | 市区町村 | 土地・建物の価格 |
土地総合情報システム | 国土交通省 | 土地・建物の価格 |
レインズ | 指定不動産流通機構 | 建物の価格 |
一括査定サイト | 各不動産会社 | 土地・建物の価格 |
不動産価格の計算の仕方はさまざまです。総合的な判断をするには専門的な知識も必要になって来ますので、最終的には不動産取引の専門家に価格査定をお願いすることがほとんどでしょう。
しかし、自分自身でもおおよその価格相場を把握しておかなければ、査定価格が適正なのか、判断をすることもできません。
これらを踏まえて、次にどのようにして不動産の価格が決まっていくのか、見ていきましょう。
公示価格で土地の価値を調べる
国土交通省が全国に定めている標準値を対象に、1㎡あたりの土地の価格を示したものが公示価格です。
調査は年に一回行われ、公正な不動産取引の指標となっています。
実際に所有している土地の価格を調べたい場合は、標準値・基準値検索システム『国土交通省地価公示・』を利用するとよいでしょう。
参考リンク|国土交通省|地価公示・都道府県地価調査
路線価から価値を調べる
路線価とは、主に市街地などの地域の路線(不特定多数が通行する道路)に面する宅地の、1㎡当たりの評価額のことを言います。
路線価は国税庁のホームページのほか、民間のサービスで提供されているデータベースから調べることも出来ます。
この路線価は公示価格の8割が目安とされており、大体の相場を知りたい場合に有効な手段と言えるでしょう。
ただ、土地は必ずしも道路に綺麗に面している訳ではなく、特殊な土地(旗地や変形地など)の場合は正確な価格を出すために補正が必要になることもあります。
参考リンク|国税庁|財産評価基準書・路線価図・評価倍率表
固定資産税評価額を確認する
固定資産税評価額とは、総務省が定めた『固定資産評価基準』に基づいて、各自治体が土地と家屋それぞれに対して決める価格のことを言います。
各市区町村が3年ごとの1月1日時点で価格を更新し、土地の場合は公示価格の7割程度、家屋の場合は再建築価格(今、その建物をもう一度建てる場合にかかる費用)の5~7割程度が目安になります。
自宅に届く納税通知書で確認することができるほか、不動産のある地域の役所で固定資産課税台帳を閲覧する方法、固定資産評価証明書を取り寄せる方法などもあります。
土地総合情報システムを活用する
土地総合情報システムとは、国土交通省が運営している不動産の取引価格や地価公示・都道府県地価調査の価格を閲覧できる取引情報サイトです。
サイト上の『不動産取引価格情報検索』から、土地、土地と建物、中古マンション、農地、林地、について、過去数年間に行われた実際の取引情報を閲覧することができます。
取引情報の検索手順は
- 1. 取引の時期を選ぶ
- 2. 物件の種別を選ぶ
- 3. 地域を選ぶ
検索条件は物件所在地の町名まで絞り込むことができます。番地まではわからないため、所有している物件と必ずしも近い条件とは言えませんが、おおよその金額を知ることができます。
ただ、掲載されている取引情報は買主を対象とした任意のアンケートにより公開されています。調べる地域によっては情報の件数が少ないなど、多少の差がありますので、ご注意ください。
参考リンク|国土交通省|土地総合情報システム
レインズ(不動産流通標準情報システム)で調べる
レインズとは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムです。 「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」の英語の頭文字を並べて『REINS(レインズ)』と呼ばれています。
全国指定流通気候連絡協会が保有しているデータで構成され、実際に行われた不動産売買の成約価格などの取引情報を検索することができます。
一般に公開されているのは『マンション』と『一戸建て』の直近一年間のデータになりますが、物件所在地を町名まで絞り込んで検索することができます。
取引情報の検索手順は
- 1. 物件種別ごとに分かれている検索フォームを選ぶ
- 2. 大まかな地域を指定する
- 3. 詳細検索で物件所在地の地域を検索する
こちらのサイトでは地域ごとの1㎡あたりの単価や物件の間取り、築年数などの情報が一覧で表示されるほか、過去2年間の市場動向がグラフで表示され、確認することができますので、地域の不動産の価格推移を知る上でも重宝するでしょう。
参考リンク|不動産流通機構|レインズマーケットインフォメーション
一括査定サイトで依頼する
手軽に、かつ具体的に所有している不動産の価格を知りたい場合は一括査定サイトで査定を依頼することもおすすめです。
現在、国内には多くの不動産一括査定を行なっているサイトが存在します。
これらのサイトでは、複数の不動産会社と提携し、一度に査定依頼を行うことができます。不動産の査定価格は不動産会社によって異なりますので、査定の内容、価格を付けた理由などを加味して、納得のできる結果であればそのまま売却の仲介を依頼することもできます。
ただ、こういったサイトで査定を行う場合、あくまで査定方法は机上査定(築年数や土地面積、住所など売主から提供された情報を元に価格を推算すること)ですので、必ずしも査定額で売却できる訳ではないことを頭に入れておきましょう。
地域の不動産会社に査定を依頼する
より具体的に不動産の売却を考えているのであれば、不動産所在地の不動産会社に直接査定を依頼するのも、売却をスムーズに進める一つの手段です。
地元の不動産会社であれば地域の不動産売買の価格推移や購入の需要、地域の特色などを加味してくれるほか、素早く現地に赴いて訪問査定(実際に不動産を見て正確な査定額を計算すること)を行なってくれます。
不動産の査定は訪問査定であっても無料で行なっている会社が多い(売却が成立した際の手数料を成功報酬としている)ため、気軽に相談をしてみるとよいでしょう。
不動産の売却相場を調べる方法はさまざまですが、これらはあくまで目安ですので、実際に査定価格で売れるとは限りません。
日々、変化していく不動産相場や買主の需要などを見極めて、賢く、損をしない取引になるよう、しっかりとアンテナを張って備えておきたいですね。